バレエの怪我を予防するストレッチとは?

バレエの怪我を予防するストレッチとは?

バレエの怪我を予防するストレッチは、踊る前に体を温めながら動かすストレッチと、踊った後や別の時間に無理なく行う柔軟運動です。開脚や甲を強く伸ばすだけでは、怪我を防げるとは限りません。

特に大切なのは、ストレッチに加えて、正しい姿勢やターンアウト、練習量、休養も整えることです。痛みを我慢して伸ばしたり、関節を押して可動域を広げたりする方法は避けてください。

バレエの怪我を予防するストレッチは「踊る前」と「踊った後」で分ける

踊る前は、筋肉を動かしながら温める動的ストレッチが向いています。踊った後やレッスンとは別の時間には、呼吸を止めずにゆっくり伸ばす静的ストレッチを行います。

行うタイミング 向いている方法 目的
踊る前 歩く、軽い屈伸、脚の振り、足首回しなど 体温を上げ、踊る動きに備える
踊った後 ふくらはぎ、太もも、股関節などをゆっくり伸ばす 使った部位を落ち着かせ、柔軟性を保つ
レッスンとは別の時間 体の状態を見ながら行う柔軟運動や筋力トレーニング 可動域や姿勢を整える

踊る前に長時間の静的ストレッチだけを行うと、動きに必要な力を出しにくくなる場合があります。静的ストレッチをする場合も、体が温まってから短時間にとどめ、無理に伸ばさないことが大切です。

踊る前に行うバレエ向けの動的ストレッチ

踊る前は、息が少し弾む程度に体を温めた後、バレエで使う関節を痛みのない範囲で動かします。反動をつけて無理に大きく動かす必要はありません。

  1. 軽く歩く、またはその場で足踏みする。体が冷えた状態から急に開脚やジャンプを始めないようにします。
  2. 足首をゆっくり動かす。つま先立ちと戻す動きを繰り返し、足首を内外に小さく回します。痛みやぐらつきがある場合は中止します。
  3. 膝を軽く曲げ伸ばしする。膝とつま先の向きをそろえ、膝が内側に入らないよう確認します。
  4. 脚を前後・左右に小さく振る。体を反らしたり、腰をねじったりせず、最初は小さな範囲から始めます。
  5. 股関節をゆっくり動かす。骨盤を傾けて無理にターンアウトを作らず、立った姿勢を保てる範囲で行います。
  6. プリエやルルベを軽く行う。足裏の3点で床を感じ、膝とつま先の向きをそろえます。痛みがなければ、レッスンの動きに近づけていきます。

動かしている途中で鋭い痛み、引っかかり、しびれ、関節の不安定感が出た場合は、その動きを続けないでください。

踊った後にゆっくり伸ばしたい部位

踊った後は、反動をつけず、呼吸を続けながら筋肉をゆっくり伸ばします。伸びを感じる程度にとどめ、痛みやしびれが出るところまで押さないことが基本です。

ふくらはぎ

壁に手をつき、片脚を後ろに引きます。後ろ足のかかとを床に近づけたまま、前の膝を軽く曲げて、ふくらはぎの伸びを感じます。

太ももの前側

壁などにつかまり、片方の足首を持ってかかとをお尻に近づけます。膝を前に出しすぎたり、腰を反らしたりせず、左右の膝を近づける意識で行います。

太ももの裏側

片脚を前に出し、背中を丸めずに股関節から上体を少し倒します。つま先を強く手前へ引いて痛みが出る場合は、足首の力を抜いてください。

お尻と股関節周辺

仰向けで片膝を胸に近づける方法や、椅子に座って片足を反対側の太ももに乗せ、上体を少し倒す方法があります。股関節の前や腰に痛みが出る場合は、深く倒さないでください。

足の裏と足首

タオルを足の指で軽くたぐる、足裏をボールなどで軽く転がすといった方法があります。強く押しつぶしたり、痛い場所を長時間刺激したりする必要はありません。

バレエの怪我を防ぐために、ストレッチだけで無理をしない

ストレッチは体を動かしやすくするための一つの方法ですが、怪我を完全に防ぐものではありません。次のような点も、足首や膝、股関節、腰の負担に関係します。

  • ターンアウトを足先だけで作らず、股関節から無理なく行う
  • 膝とつま先の向きをそろえ、膝が内側に入らないようにする
  • 甲や足首を手で強く押して、形を作ろうとしない
  • 痛みがある状態でジャンプ、ポワント、深いプリエを続けない
  • 練習量を急に増やさず、休む日や軽い練習の日を設ける
  • 滑りすぎる、または硬すぎる床や、合わないシューズを避ける
  • 睡眠や食事を削ってまで練習を続けない

特に、柔軟性が足りないから痛みが出ているとは限りません。筋力、体の使い方、疲労、練習量などが関係している可能性もあるため、痛みを柔軟運動だけで解決しようとしないことが重要です。

ストレッチを中止して受診を考えたい症状

次の症状がある場合は、ストレッチを続けず、整形外科やスポーツ障害を扱う医療機関などに相談してください。

  • 転倒やひねりの後から強い痛みや腫れがある
  • 体重をかけて立つ、歩くことが難しい
  • 関節が外れそう、または明らかに不安定に感じる
  • しびれや力が入りにくい症状がある
  • 練習を休んでも痛みが繰り返す
  • 夜間にも痛む、または少しずつ痛みが強くなっている

成長期の子どもは、骨や関節が発達途中です。大人と同じように強い柔軟運動を行わず、痛みが続く場合は保護者や指導者に伝えて医療機関へ相談してください。

バレエの怪我を予防するストレッチの判断ポイント

踊る前は、軽く体を温めてから、足首・膝・股関節を動かす動的ストレッチを行います。踊った後は、ふくらはぎや太ももなどを、呼吸を止めずにゆっくり伸ばしてください。

ただし、ストレッチの強さや回数を増やせば怪我を防げるわけではありません。痛みのない範囲で行い、ターンアウトや練習量、休養も一緒に見直すことが、バレエを長く続けるための基本です。